アカデミアにおける生命・医学系指針レベルの研究(治験・特定臨床研究以外の研究)のRisk Based Approachについて
2019年7月に「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスが改訂され、研究のすべての過程における品質マネジメントシステムの履行が推奨されるようになりました。
また、研究の品質保証及び品質管理のために使用する方法は、研究固有のリスクや収集する情報の重要性に対して釣り合いのとれたものとすべきであることが明確化され、研究のQuality Risk Management※におけるRisk Based Approach※の導入が不可欠であるとされています。
特定臨床研究には該当しないその他の臨床研究においても、研究の設計から終了までの一連の活動に品質保証の仕組みを組み込むこと、さらに研究デザインの時点で質に関する重要な要因を特定することでQuality by Design※を実現し、体系的な問題を防ぎ、研究対象者保護とデータの信頼性をより高めることが重要となっています。
※Quality Risk Management (QRM) |
※Risk Based Approach (RBA) |
※Quality by Design (QbD) |
品質リスクマネジメント 医薬品の製品ライフサイクルにわたる品質に対するリスクの評価、コントロール、コミュニケーション、レビューに対する系統だったプロセス |
リスクマネジメントの手法を使ってリスク(危険性)を特定し、リスクの大きさに合わせた対応をとること | 計画に基づいた質の確保の考え方 何が結果に影響を及ぼすデータかを明らかにしてプロセスを作り込み、被験者の安全性とデータの質の確保に貢献する。 |
臨床研究中核病院が中心となって実施したAMED医療技術実用化総合促進事業「RBA実装のための取り組み」においては、臨床研究の種別に応じたRBA手法の検討が行われ、成果物として以下のページが公開されています。
<参考資料>
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)医療技術実用化総合促進事業 成果物
当院における取組
金沢大学では、2022年度からAMED研究開発推進ネットワーク事業「生命・医学系指針を遵守する介入研究を対象とするRisk-Based Approachの実装に向けた整備、方策等の研究開発」を三重大学と共同で実施し、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を遵守する介入研究(以下「指針介入研究」という。)へのRBAの普及による、研究の品質向上・品質確保に向け、以下の取り組みを行いました。
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指針介入研究へのRBA実装による2021年度AMED事業成果物の効果検証
本学で実施した指針介入研究において、2021年度 AMED医療技術実用化総合促進事業「RBA実装のための取り組み」の成果物である説明書及び手順書を用いてRBAを導入し、その効果を検証しました。
<参考資料>
Risk Base Approach 実施のための説明書-第1.0版-
アカデミアにおけるRisk Based Approachに関する手順書-第1.0版-
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指針介入研究のためのリスク評価項目リストの作成
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RBAの導入を容易にする臨床研究審査申請システムの改修仕様書の作成
RBA関連資料を研究ごとに一元管理・情報共有することができるよう、多くの機関で導入されているベンダーの臨床研究審査申請システムに対する機能追加に係る仕様を策定しました。本学の臨床研究電子申請システムにおいては、本仕様に基づき、各研究課題情報ページからRBA情報が登録できるようになっています。
関連情報
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究開発推進ネットワーク事業