あなたが臨床試験・治験への参加を勧められたら

臨床試験・治験への参加を勧められたら聞いてみるチェックリストです。

お医者さんやコーディネーターに何か聞こうという時は・・・・・・

家族や友人と一緒に行きましょう。いっしょに質問したり、答えを覚えたりしてくれるはず。
聞きたいことを前もっていろいろ考えておきましょう。もちろん、その場で思いついた疑問はためらわずに聞きましょう。
前もって疑問点を書き出しておきましょう。聞きたいことはもらさず明快にしたいですよね。
質問に対してもらった答えを書き残しておきましょう。あとで見たい時にいつでも見直せますね。
テープレコーダーにとっておくのも良いかもしれません。(たとえ紙に書き残しておいたにしても)

「治験」そのものについて

この治験の目的は何?

試験対象の病気や試験の種類によって、目的というのは違ってきます。たいていの場合、この治療法が効果的かどうかを確かめる、または最善のものかどうかを確かめるということです。なぜこの試験を行うのかの説明は必ずなされます。

なぜ、「この治療は効く」ということになったの?

なぜ、治験で行われる治療は有効だと考えられたのかについて説明があります。そのくすりの性質や、これまでに行われた治験の説明があります。

この治験の主催者はダレ?

薬の治験であれば、メーカーが治験の主催者になります。その他治療法の治験であれば、当院または医師のグループなどが主催者になります。

治験の開始を審査したり承認したりするのはダレ?

メーカーは治験を行う前に、国に対して治験を行うことを届け出る義務があります。治験が終了・中止される場合にも届け出が必要です。
メーカーから治験実施の依頼を受けた医療機関でも、治験審査委員会を開き審査します。ここで承認の得られた治験のみが、実際に行われます。

どうやって治験結果をチェックするの?どうやって参加者の安全を守るの?

治験中、医師や臨床研究コーディネーターが参加者と面談し、不快なことが起こっていないか、順調に治験が進んでいるかなどをチェックします。また、メーカーは治験を行っている医療機関を訪れ、治験は正しく行われているか、参加者の安全は守られているかをチェックします。
治験の結果は、メーカーが集計し結論がまとめられます。そこで出された結論は国に提出されて、その内容が審査されます。国の審査を通ると治験薬は医療用として販売できるようになります。

治験はどのくらいの期間続くの?

治験がどのくらいの期間続くかは、試験によって異なります。1週間程度の短いものから1年以上にわたるものまであります。慢性疾患に対しての治験では、治療がうまくいった場合に、治験を延長する場合もあります。

もし治験に参加したら、患者がしなきゃいけないことってあるの?

治験に参加したら、たいてい定期的に病院へ行くことになります。病院に行くと医師の診察を受けたり、決められた検査を受けることになります。いつ、どんなことをするのか具体的に聞いておくことで、心構えをしておくことができます。前もってわかっていれば、手違いで参加が無駄になるようなこともなくなります。

「いいこと」と「わるいこと」

参加したら、どんないいことがあるの?

その分野の専門医師による治療を受けられます。
まだ広く使われていない、最新の治療を受けられます。
治験中、いつも以上にあなたの状態をチェックします。
もしこの治療が有効なものだったら、あなたは誰より早くその恩恵を受けられます。

わるいこと、たとえば副作用って何があるの?

新しい治療は医師も知らない副作用などがあるかもしれません。
治療の効果や安全性が、現在の一般的な治療より劣っているかもしれません。
新しい治療があなたに対しては、有効でないかもしれません。

私にこれらのことは起こるの?

残念ながら、あなたに出る副作用をすべて予想することはできません。ただ、治験それぞれで出やすい副作用と出にくい副作用があります。どんな場合に出やすいか、出にくいかについては説明があります。なければ聞きましょう。説明を受けておけば、いざ症状が出た時も落ち着いて対処できると思います。もしその時、こちらにご連絡いただければ、適切な処置をさせていただきます。

参加した時に受けられる治療

治験で行われる治療はどんなもの?

治験ごとに行われる治療は異なりますが、お薬の治験であれば、いつ、どのくらいの量を飲むかなどの説明があります。

その治療って苦しい?もし苦しいことがあるなら、どのくらいの期間?

これも、治験ごとに異なりますが、あらかじめ分かっている副作用などは必ず説明があります。それらがどの程度続くのかについても説明があります。そういうことを聞いておけば、いざそれが起こっても落ち着いて対処できます。

「プラセボ」って何?

「プラセボ」とは、治験のお薬と形がいっしょ、だけど中に有効成分の入っていないお薬のことです。
プラセボと治験のお薬をそれぞれ使って、治験のお薬による効果と、プラセボを飲んだことによる心理的な効果を比べて、治験のお薬が本当に有効なものかを見ます。
全ての治験でプラセボを使うわけではありませんが、参加しようとする治験に「プラセボ」という言葉があったら、ある確率でプラセボを飲んでいただくことになります。
参加した皆様にはプラセボを飲むのか、治験のお薬を飲むのかお知らせできません。プラセボを飲むかもしれない治験では、そのことが前もって説明されます。

治験中に、いつも通りの治療に切り替えることはできる?

できます。
どんな理由であっても、お申し出があれば治験を中止して、いつも通りの治療に切り替えることができます。治験を中止したことで、医師があなたを恨みに思ったり、あなたが損をしたりすることはありません。

どこで治療を受けるの?

たいていの場合は、治験の説明を受けた医療機関で治療を受けます。入院する必要があるか、ほかの施設に行く必要があるかなどの説明があります。

私の治療の担当者はダレ?

たいていの場合、担当の医師は最初の面談時に説明をした医師になります。ただ、医師・薬剤師・看護師などがチームであなたの治療に関わります。チームの誰かの電話番号を教えてくれますので、もし何か聞きたいことが浮かんだら、いつでも聞いてみてください。

日常生活

治験に参加すると、生活は変わる?

入院しなければならない治験以外は、生活が大きく変わることはありません。ただ、決められた日時に病院を訪れたり、検査を受ける必要はあります。

治験のことを他の人に話しても大丈夫?

まったく問題ありません。
ほかの医師の治療を受ける時などは、積極的に治験中であることを言いましょう。

「お金」の話

治験の治療費の分だけ、負担が増えるの?
もし増えるのなら、どのくらい増えるの?保険はキクの?

治験ごとに異なります。たいていの場合、参加によって負担は変わりません。なかには、負担が増えるものや減るものもあります。詳しくは医師、薬剤師、看護師等にお尋ねください。